最近、クロースアップコンテスト等を見たりして思ったことなのですが、スネークカットブームの影響
なのでしょうか、凄いテクニックを持った方が、以前よりも沢山いるように思いました。
勿論、これはとても素晴らしい事なのですが、そのテクニックの生かし方が間違っているように感じます。
最近、テーブルセルバンドを使用する方が増えてきました。韓国系のマジシャンは、ほぼ全員だと思います。
テーブルマットと同じぐらいのサイズのものが、垂れ下ってたりします。
決してセルバンドを使用するなと、言いたい訳ではありません。ただ、本当にその時それが必要なのかを
考えてほしいのです。だって、凄いテクニックを持っているのですから。
以前、セカンドバックマジシャンが増大したことがありました。
演技を始める前にセカンドバック(道具入れ)をテーブルの上に置くマジシャンの事です。
コンテスタントの9割近くが、そうであった時期もあったぐらいです。
しかし、そのことがおかしいと気付き出し、セカンドバックはテーブルの上ではなく、マジシャンの横の
椅子の上に移動しました。これが、第二期セカンドバックマジシャン(横椅子マジシャン)です。
椅子の上に置いたため客の目に触れなくなり、セカンドバックのサイズが大きくなりました。
実は、これの発端も勘違いだったのです。
このブームの少し前から、諸先輩の方々の御尽力で、海外からマジシャンが盛んにレクチャーを開催する
ようになりました。
レクチャーには、それなりに小道具が必要な為かつ彼らは遠くから来ている為、便宜上バッグを横に置いたり、
セカンドバックをテーブルの上に置いたりしました。これが、若いマジシャン達にはオシャレにみえたのです。
そして、セカンドバックマジシャンブームとなりました。
セカンドバックマジシャンブームから、第二期セカンドバックマジシャンブームと引き続き、何年かが過ぎました。
多分、15年ぐらいは経過したかと思います。そして、最近セカンドバック率が10%ぐらいになりました。
良い傾向だなと思っていた矢先、テーブルセルバンドマジシャンが登場しました。
凄いテクニックを持っているのに、テーブルセルバンド等を使っているのです。
テーブルセルバンドを使うな、と言っている訳ではありません。その必要性について、もう少しだけ考え直して
ほしいと、言っているだけです。
マジックは、不思議を見せる芸能です。凄いテクニックを持っているのなら、それを見せびらかすだけでなく、
より不思議に見せるために使ってほしいのです。
こんな事がありました。凄いテクニックを持っているという事で評判の、某マジシャンのレクチャーに参加した
時の事です。
ある作品の解説で、「この作品のセットは、最初この様にセットしていましたが、この状態にセットするのは
大変なので、別のセットで出来るように改良しました。」 そう言って2種類の方法を解説しました。
2種類の方法は、見た目にはさほど変わりませんでしたが、最初の方が、優れた作品でした。
彼が、その作品の演技を行った時、一度もテクニックを使ってセットしませんでした。
凄いテクニックを持っていると、いう事で評判のマジシャンがです ・ ・ ・
彼が難しいと言ったセットの方も、工夫で何とか出来る範囲のものでした。
彼は、なぜそのためのテクニックを考案せず、改案に走ってしまったのでしょうか。
もちろん、優しい方のセットの、テクニックの解説もありませんでした。
マジシャンのテクニックは、見せびらかす為のものではありません。
マジックを不思議に演出する為の、スパイスでなくてはならないと、私は思います。
それを、勘違いしないでほしいのです。 |
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